@ 神奈川県その他関係機関と必要な協議をして、申出人の住民基本台帳に記載された住民票コードを削除し、申出人の住民票コードの通知を中止し、通知済みの住民票コードを抹消するよう努めるべきである。
A 逗子市長に対し、住基ネットへの参加を継続するか離脱するかについて、何らかの手段で市民の意見を聴した上で、逗子市個人情報保護運営審議会の意見を聴いて、改めて方針を決めることを要望する。
◇憲法13条の問題
−国民総背番号制との関係で−
住基ネットの制度化の過程で繰り返し議論されてきた「住基ネットは国民総背番号制ではないか」という問題は、憲法論としては憲法13条違反として論じられるべきことである。国民総背番号制という言葉の意味は一義的ではないが、全国民を番号により特定し、その番号をさまざまな分野の共通番号として利用することによって、国家が国民の行動を監視し、あるいは監視することを可能ならしめる制度は、主権者たる国民の個人的な情報を国家が包括的に管理するものであって、国家に対し国民が個人として尊重されると定め、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を保障している憲法13条に違反する可能性が高いといえよう。
−自己情報コントロール権の観点から−
憲法13 条の関係でもう一つ論ずべきことは、憲法13条の保障する人格権の一環を成すプライバシーの権利の侵害の問題である。プライバシーの権利は今日では自己情報コントロール権を意味する。すなわち、自己の情報を暴露されないだけでなく、特定の目的のために提供した情報が本人の関知しないところに流通し、利用されたりしないこと、また、本人からの開示、訂正、削除、中止(利用停止)の権利が保障されることが要請されている。これは憲法13条の問題とはいえ、国民総背番号制の問題とは別に、個人情報について本人のコントロール権を保障するという問題として捉えることができる。住基ネットは、この点からも大きな問題をはらんでいる。
◇自治体の義務との関係
市町村長は、住基法3条1項により「住民に対する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とされ、同法36条の2により「住民基本台帳・・・の事務の処理に当たっては、住民票・・・に記載されている事項の漏えい、滅失及び毀損の防止その他の住民票・・・に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない」とされている。そして、これを受けた総務省告示334号第2、5項では、「データの漏えいのおそれがある場合の行動計画(住民基本台帳ネットワークシステムの全部または一部を停止する基準の策定を含む。)・・・」と定め、市町村長が、住基ネットの全部または一部を停止できることを前提として基準の策定することを求めている。実際、緊急時対応計画によって、一定の場合に切断することが認められている。
このように、市町村長としては、住基法3条1項、36条の2により、適正・適切な管理が要請され、そのために場合によっては住基ネットからの切断も認められているのである。附則1条2項(「施行に当たっては、政府は個人情報保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずる者とする。」)の措置が取られないまま住基ネットに参加することは、住基情報の適正管理、漏えい防止等の点からは危機的事態である。よって、市町村長は、住基法3条1項、36条の2の義務の履行として、住基ネットへの不参加もしくは参加後の離脱が認められるというべきである。
2002.11.12 読売新聞
住基ネットを通じて個人情報を国に提供され、憲法が保障する人格権やプライバシー件権などを侵害されたとして、大阪府豊中市など府内8市の住民58人が、各市を相手取り慰謝料計290万円を求める集団訴訟を11日、大阪地裁に起こした。住基ネットを巡る訴訟で住民が地方自治体に慰謝料を請求するのは初めてという。原告は▽豊中市48人▽箕面市3人▽守口市2人▽大阪、吹田、泉佐野、東大阪、八尾市各1人で、1人あたりの請求額は5万円。
訴状によると、住基ネットは住民票コードで個人情報が国に集約されるため、システム障害などで情報が外部に漏れる危険があるが、8市は原告の懸念を無視して住基ネットに接続。原告らの人格権や個人情報を管理する権利などを侵害した、としている。
8月の住基ネット運用開始時にも豊中市を相手に接続差し止めを求めて提訴し、今回の集団訴訟を呼びかけた一村和幸・同市議は「情報漏洩への不安は大きい。参加者を増やしたい」と話している。